塩の効果と作用!塩を上手に活用したい!
塩は味を引き立たせるだけではなく、塩を使うことで食物にさまざまな効果を生み出してくれます。
もっとも身近にある調味料ですが、知らない使い方が結構あったりします。
塩のことをよく知って上手に使うことで料理をもっとおいしく仕上げたいですね。
目次
料理は塩で際立つ
料理のかくし塩の効果とは
塩の加減は、料理のとき食材のうま味を引き出すために大切なものですが、ちょっとした塩使いで味ががらり変わります。
料理を修業する人は、昔から「塩ふり3年」「塩味10年」といわれているそうです。
ぜんざいを作るときなど、甘味を引き立たせるためにほんの少し塩を入れると、甘味を強く感じるようになり、全体の味も引き締まります。
また、ご飯を炊くときも塩を入れると風味がよくなります。
塩にはこのようにうま味や甘みを強める効果があり、これを「かくし塩」といいます。
料理に塩を加える効果とは
すし酢をつくるとき塩を入れると、酢の酸っぱい味がやわらぎます。
この作用は酸っぱい味と塩辛い味を一緒にした場合、お互いの味が刺激されて穏やかな味になります。
梅干しを作るときでてくる梅酢は強い酸味をもっています。
そこに濃い塩が加わわることによって、まろやかでバランスのとれた味になります。
このときの梅酢と食酢の配合割合から「塩梅(あんばい)」という言葉が生まれました。
他にも二杯酢、三杯酢など塩を加えたいろいろな調味料は、塩のこうした効果を利用したものです。
塩は料理のときなど直接塩味をつけるほかに、塩味を全面に出すことなく味のバランスを保つ働きをもっています。
塩を形(べたべたしたものからサラサラしたもの)で使い分ける
塩の種類は、海塩、岩塩、湖塩があります。
湖塩は、海塩に近いのでほぼ同じ使い方ができます。
どちらもほとんどの料理に使えますが、どちらかというと魚料理に合います。
岩塩はあえていえば肉料理に合います。
粒の大きい岩塩の場合、野菜を煮たり茹でたりするときに使われています。
肉などに下味としてふるときは、必ずミルを使います。
塩を使うときのポイントとして大事なことは形(べたべたしたものからサラサラしたもの)によって使い分けることです。
日本では、水分の多いベタベタした塩が、自然に近いというイメージがありますが、料理のときじっさいに使うときは、サラサラした塩の方が使いやすいです。
乾燥塩は通常水分が、0.2%以下となっています。
にがりが含まれている塩はベタついていますが、使いにくいときは、から炒りしてサラサラにして使います。
しかし漬物に使う場合は、湿った塩の方がよく素材になじみ使いやすいです。
ドレッシングや酢の物を作るとき、食塩は結晶が固く溶けにくいので、微粒のものやフレーク塩のように溶けやすいものを使います。
塩の浸透圧脱水作用
塩の食物に与える作用でさまざまな効果があげられます。
その中で浸透圧脱水作用のとき塩が大きな役割をします。
浸透圧脱水作用とは、食物から水分をしみださせることをいいます。
白菜やキャベツなどに塩をふるとしんなりします。
この作用は水分が外に追い出されて、浸透圧によって脱水現象が起こるからです。
このとき使う塩は、精製された塩でなく、材料に付きやすく溶けやすい塩のほうがいいです。
精製塩や食卓塩は水に溶けにくいといった特徴があります。
酸化を防止する効果
生の食品には、酸化酵素が含まれています。
塩にはこの酸化酵素の働きを止める作用もあります。
例えばリンゴの皮をむきしばらくすると色が茶色っぽく変色しますよね。
どうしてそうなるかというとりんごの細胞の中に含まれるポリフェノール系の物質とそれを酸化させる酵素が含まれているためです。
細胞が傷つけられると酵素が作用して酸化するのです。
変色を防ぎたいときに薄い食塩水に浸します。
薄い食塩水の効果で酸化酵素の働きが阻止されます。
薄い食塩水の濃度は0.5%ぐらいで十分効果がえられ、長い時間漬けて置く必要はなくくぐらせる程度で変色は防げます。
防腐剤の効果
昔から塩を使って食物が保存されてきました。
これは塩の持つ腐敗防止作用によるものです。
食物が腐敗する原因として、
1.食品そのものに含まれている酵素によるもの
2.微生物の繁殖によって成分に変化が起こるもの
があります。
細菌の発育には50%から60%以上の水分が必要とされています。
塩の浸透圧の作用で食物から水分をとり、細菌が発育できないようにします。
そこでさらに塩を染み込ませることで酵素の働きを抑えようとするのが塩の防腐剤としての役目です。
昔からさまざまに利用されている塩ですが、調味料としてではなく、防腐剤、酸化防止剤などの力も発揮しています。
こんなにも、さまざまな力を持っている調味料って他にもあるのでしょうか?
私たちが生きていくうえで不可欠なものでもあります。
いろんな種類の塩がありますので、自分の好みの塩を見つけたり、料理別にも使い分けすると味がまた一段と美味しく感じられたりもするのではないでしょうか。