重陽の節句とは~菊の節句とも呼ばれるのはなぜ?
2015/08/29
「重陽の節句」の日は?
と聞かれて、すぐに「9月9日」と答えられる人って、だんだん少なくなってきているでしょうね~
わたしも今まで知りませんでした・・・
大事な日本の風習なのに・・・
海外からの旅行者も増え、日本の文化がいろいろな面で注目を浴びていますが、「重陽の節句」もわたしたち日本人がきちんとこれから先も継承していかなくてはならない大事な風習の一つですね!
目次
重陽の節句とは
中国では、奇数のことを「陽数」といって縁起のいい数だとされています。
なかでも一桁の陽数の中で最も大きい「9」が重なる9月9日は「陽数が重なる」日となり「重陽の節句」と定められ、長寿を祈願する日になりました。
五節句とは
中国で陽数が揃う日を、1月1日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日を節句としてお祝いする風習があり、それが日本に伝わり、江戸時代に公的な祝日として、「五節句」に制定され、「1月1日」の場合は、一年の始まりを祝う特別な日なので「1月7日」に変更されました。
ですから9月9日の「重陽の節句」は、「五節句」の一つなんですね。
「五節句」は、それぞれが次の意味をもっています。
●1月7日 「人日(じんじつ)の節句」
別名「七草の節句」無病息災を願う
●3月3日「上巳(じょうし)の節句」
別名「桃の節句」女児の成長を願う
●5月5日「端午(たんご)の節句」
別名「菖蒲の節句」男児の成長を願う
●7月7日「七夕(しちせき)の節句」
別名「たなばた」技巧の向上を願う
●9月9日「重陽(ちょうよう)の節句」
別名「菊の節句」不老長寿を願う
菊の節句
菊は邪気を払うといわれ、菊を使ったお祝いする習わしがあります。
旧暦では、9月9日の頃が菊の花が咲く季節だったので、「重陽の節句」は「菊の節句」とも呼ばれるようになりました。
菊の花言葉
古来から日本人に親しまれてきた菊は、「仙人の住むところ咲く」といわれる高潔な花です。
菊の花言葉は「高尚」「高潔」「高貴」「女性的な愛情」「真の愛」「私を信じてください」「清浄」「破れた恋」などです。
食用菊の種類
菊は観賞用として親しまれる一方で、昔から食用や漢方薬としても用いられてきました。
菊はβーカロテンやビタミンCなど、抗酸化作用の高い栄養素が多く含まれ、アンチエイジングの観点からも注目されています。
食用菊は観賞用の菊と同じ菊の仲間で食用に苦味が少なくかつ食べる部分の花びらが大きくなるように品種改良されたものの総称です。
赤紫の「延命楽(えんめいらく)」
最大の産地は山形県「もってのほか」「もって菊」と呼ばれています。
香りや味食感ともに最も高く評価されている品種です。
これは天皇家の御紋である「菊の御紋」を食べるのは、「もってのほか」や「もってのほか美味しい」という意味からつけられた名前だそうです。
・新潟県では「カキノモト」と呼ばれています。
黄色い「阿房宮(あぼうきゅう)」
・青森県八戸の特産品「延命楽」より少し小さいですが、小菊というわけではなくしっかりとした花びらを持っています。
食感的には「延命楽」よりも柔らかい感じです。
小さい黄色い小菊
・主なものは刺身などのつまに添えられています。花びらなどを使うよりも花そのものを飾り的に使われることが多いです。
添えられたものをいただくときは、花びらをむしって刺身にちらしたり、しょうゆに入れたりして食べるとほのかに香りがして美味しいです。
食用菊の選び方
・色が鮮やかで花びらの先までシャキッとしているもの
・花びらが丸まって筒状になっているもの
「重陽の節句」の料理
●食用菊の花びらを浮かべた「菊酒」
●食用菊を用いた「おひたし」「菊花蕪」「酢の物」「天ぷら」
●江戸時代中期を代表する画家 尾形光琳の創案した和菓子○に・で菊をあらわした「光琳菊」
●菊をかたどった「干菓子」
などをいただきます。
「栗の節句」
「重陽の節句」は「菊の節句」とともに、庶民のあいだでは、「栗の節句」とも呼ばれ、秋の収穫をお祝いしていたそうです。「栗ごはん」をつくり、できあがりに、食用菊の花びらを数枚散らせば、目でも楽しめますね。
菊を使った楽しみ方
菊湯
菊は香りが豊かなので花びらを浮かべただけでも香りが浴室に広がり気持ちよくリラックスできますね。
菊枕
菊を詰めた枕で眠ると、香りが邪気を払ってくれます。菊のポプリで代用してもいいですね。
被せ綿(きせわた)
菊の花に綿をかぶせて一晩おくと、翌朝には綿が菊の香りや朝露を吸っています。その綿で体を清めると長寿をもたらすといわれています。
五節句の中で「重陽の節句」だけは、なじみがなく、他の節句は季節の行事としてとらえ、その日にちなんだことをして楽しんでいました・・・
これからは、「重陽の節句」も菊を取りいれ、栗ごはんなども作り楽しみたいと思います。
しかし、なぜ「重陽の節句」だけは、わたしたちになじみがないのでしょうか?
以前は、菊の花が咲きほこる時期は旧暦の9月9日でしたが、現在の新暦の9月9日と、ずれてしまって、「菊の節句」=「重陽の節句」が時期的に馴染まなくなったのでしょうね。